男やもめも花は咲く
たまたまTwitterで「男やもめも花は咲く」をオススメしてるのを見かけて次はこれにしようと決めていた。
ちなみに私が事前に得た情報は「すごくキュンとした」だけ。でもこの表紙とこのタイトルだ、「すごくキュンとした」なんて最高の情報!即決。
そもそも男やもめというのは独り身の男性のこと。本来はパートナーと死別した男性を指すようだがこの場合は前者の独り身の男性のこと。
仕事一筋四十路で離婚した植松は、料理ができない。だから毎日のように牛丼屋に通う。この時点で私からすれば植松さんの食生活が心配だが、おじさんにも関わらず植松の胃は衰えていないので間髪入れずお肉を食べても大丈夫なようだ。
その牛丼屋の店員は気がきいて爽やかな大学生。植松が熱いお茶が苦手なことに気づき、お冷を出してくれるほど細やかなサービスをしてくれる。
もうお気づきかもしれないが、この牛丼屋の店員と恋に落ちます。
王道な展開でいけば、互いに惹かれあってこのおじさんの家ですぐにやってしまっておじさん年甲斐もなくやべぇ〜やっちゃった〜〜忘れて!みたいなことになりがちだがそんなことはない。
ていうかエロい要素はほぼない。たぶんちゃおとかなかよしで連載してる少女漫画の方がエロいからガッツリエロいシーンを期待してた方にはかなり物足りないだろう。
もちろん私もBLといえばエロ!エロあってなんぼ!と思っていた時期がありました。そのころの私が読んだら今回は失敗だったわって嘆いてたでしょうとも。
でもこの話はエロくなくていい、無理やりエロシーンなんて入れたらこの2人の関係をぶち壊してしまう。そのくらい2人はゆっくりと確かめるように恋していく。いや、もしかしたら早い段階で恋に落ちていたのかもしれない。それでもそれを恋と認められないのは植松がバツイチで娘と牛丼屋の店員・旭川の歳が近いこと、そしてやはり相手が同性の男ということ大きく関わっていて、2人はなかなか前に進めない。
仕事一筋だった植松は、家族を愛すること恋をすることなんてとうの昔に忘れていた。そんな疲れたおじさんが自分の娘と同年代の旭川の笑顔に癒されに今日も牛丼屋に通う。
柄にもなくスマートフォンに新しいアプリを入れ、使いこなせないが一生懸命伝えようとする。
そう、このおじさんめちゃくちゃ可愛い。
おじさんも可愛いし、ど直球で素直な旭川もまた可愛い。2人とも可愛い。この2人を見守る牛肉になりたい。
簡単に言うとおじさん受けではあるが、そういった描写はほぼないのでおじさん受けはちょっとまだいいっすわって人にもそっとオススメしたい。
長々と書いたが一番伝えたいことは、とにかく胸がキュンキュンする!足りないあなたの胸キュンチャージ!
「男やもめも花は咲く」
著者 ゆくえ萌葱
出版社 日本文芸社
KAREN COMICS